うちにはねこさんというねこがいる。
ねこさんは、息子がお腹にいてる年の夏のある日にやってきた。夕方、玄関のそとのコンクリのところにすわって、ちょうど窓をあけてスパゲッティーを茹でてたベアの顔をみてにゃーにゃーとなきつづけたらしい。
私はその日は学校の仕事の日で夜帰ったらまだ猫が玄関の外にいて、なんとなく警戒しながらも寄ってくる。
成猫にしては小さいけども子猫ではないという感じ。首輪はないけど首の周りの毛がすりきれてて、やせていて、背中には穴の開いたような傷とその周りが500円玉くらいはげていた。
その日の2、3日前に、スーパーのビニール袋にあいた穴から首をだした猫が袋ごと庭を駆け抜けたのを私は一瞬みていた。あまりにもへんてこな状況ででも一瞬のことだったので忘れてたけど。そういえばあの猫も土色だった。おんなじ猫なのか?首に毛がないのはスーパーの袋の痕なのか?なんでスーパーの袋があんなことになっていたのだ?もしくはあれは別の猫でこれは首輪のあとなのか?そしたら飼い主がいるかもしれないな。とか色々推測。
もう夜も遅いしほっとけず玄関のとびらをあけたら、すっと入ってきた。
妊婦、猫、とか検索しようものなら心配になることしか書いてないので飼うことは考えてなくて、まずは写真とこんな猫あずかってますので連絡ください、とかいたポスターをつくって駅とか近所の掲示板とかいろんなとこにはりまくった。
うっかり情がわいたらあかんので「ねこさん」とよんでいた。
というか、すぐに飼う気にならなかった正直な理由がこの地味な黄土色。痩せてぼろぼろだからというのもあるけど、茶色でも黄色でもない縞模様でもない、まだらな土色。三毛猫とか黒猫とか白猫とか、白黒とか茶トラとかサバとかシャムとか、猫という動物の魅力はあの色と模様!だと思いこんでいた私は、
ボロ雑巾みたいな色の猫、、、うーん、、、ないな。と思った。
偏見はなはだしい。
まだらの土色のねこさんは次の日から床に伸びて寝続けた。二日くらい寝続けてた気がする。めちゃくちゃ疲れていた感じ。断然犬派の私は、猫ってこんなに無防備に寝つづけるもんなん?ってびっくりしたし、断然猫派のベアも変わった猫やな、と言っていた。近所の動物病院連れて行ったりもして、そのうち傷もなおって、毛並みもよくなった。
1週間たっても2週間たっても一向に飼い主はあらわれず、そのうち自然とうちの猫になった。
私は名前をつけたかったのに、ヘンコなベアは「ねこはねこなのだからねこでいい。人間みたいに固有名詞をつけるのはおかしい!」の一点張りで、ヘンコvsヘンコめちゃくちゃ揉めたけどけっきょくそのまま、ねこさん。
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